嗚呼、青春 〜僕等の素敵な荻塔LIFE〜


「……オイ。」
「……………」
「……オーイ。」
「……………………」
「……死ね。
「………」

この奇妙な光景は屋上にあった。
壁側で蹲っている凉と、声を掛けている篤。
その隣でパックジュース(カフェオレ)を飲むトキ。
凉同様に激しく落胆している朱音。

「凛……りん………うぅ……っ何故今まで兄ちゃんに内緒に…うぅぅ…」

嘆く凉を見下ろし、篤は溜め息をつき口を開いた。

「お前に言ったら反対するに決まってるって思ったんだろ。」
「しねーよ!!凛のために生き埋めにするだけだ!!」
「(そっちの方が駄目だろう!!!)」

篤はツッコもうと思ったのだが、このシスコンダメ男には無駄だろうと判断し、心の中だけに留めておいた。

「凛〜〜〜……何で私にまで黙ってたのよぉぉ〜…」

壁に爪を立てながら呻く朱音に恐怖を感じた篤は、さり気なく優しめに声を掛ける。

「アノ…?…ロクショウサン…?」
「他の男に上げるぐらいなら私が凛の彼氏になるのにぃ!!!!
「いやいや、それは「なら調べてみる?」

篤の声を遮り、突然何処からともなく現れた真空が話しに入り込んできた。
しかも手には何枚かの写真が握られている。

「愛乃…お前一体何処から…」
「そんなにその人の事が気になるなら調べて、凛に相応しい男かどうかを判断すればいいじゃない。それで相応しく無いと判断したらな抹殺すればいいし。」
(コイツこんな話すヤツだっけ…?)

篤はまじまじと真空を眺め、密かに疑問を浮かべる。
真空は普段は無口なタイプだ。
しかしそんな事を気にもせず、凉と朱音は目を輝かせている。

「それいい!!」 「ナイスッ!!」
「情報なら私が提供するし。」
「「真空サマっ!!!」」
(それでいいのかーーーーー!?)

すっかり真空の手下となってしまった凛バカ2人に篤は絶望する。
トキはもう会話に飽き、昼寝モードである。

「っでもよ、そんなのお前に何のメリットもないじゃねぇじゃん。」
「あるわよ。」

篤が口を挟むと、真空が無表情に答えた。
凉と朱音は真空から教えてもらった凛の彼氏情報を味方に、敵(=彼氏)の元へと駆けていこうとした。
敵は3年C組だ。

「は?何がメリットなわけ?」

篤が続けて聞くと、真空は黒い笑みを見せた。

「2人が彼氏を認めなかったら、私が処分させてもらうから。

(解剖するきだーーーーーーーーっ!!!!!しかもホルマリンセット!!)

真空はケロッとしたまま、篤とトキに写真を渡した。

「はい。これ彼氏の写真。」

トキは目を擦りながら写真を見た。(寝起き)

「あ。」

ふいにトキが声を上げた。

「どうした?」

篤が聞くと、トキは表情を変えずに爆弾発言をした。

「これ、俺の従兄弟だ。」


「………………は?」


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作:星子

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